相毎モコ

400字で書くことを心がけ

ウロコ雲のない世の中で

青い海、白い砂浜、美しいおんなたち。グアムに来ている。仕事である。

朝焼けと夕焼けが美しい。夕方、仕事が一段落してたばこを吸っていたら、空の赤橙紫のグラデーションが沁み沁みと沁み込んで来たのでスピッツのインディーズ曲「夕焼けのような人」の歌詞を煙吐く間につぶやいていたら、グアムでウロコ雲を見ることはできないのではないだろうか、とふと思ったね。

【戯れ馴れくすぐり合って 見上げればうろこの雲が

訳もなくそこにあって 半分こにちぎれた頃に〜(作詞:草野正宗)】※耳コピ。インディーズの曲で、正確なリリックがないため間違っているかもしれない。申し訳ない。

という歌詞なのだが、グアムの空を見上げてもウロコ雲は訳もなくそこに無かった。いや、多分訳はあるのだが。夏から秋へ移りゆく帯でウロコ雲は生じる。その起生要因は詳らかに知らないが、涼しくなると大気で何かが起きてウロコ雲が生まれるのだろう。

とにかくグアムでは、夏だぜー、みたいな雲が圧倒的にメジャーである。グアムで生まれてグアムから離れずにこの世を去る人もいるだろうから、その人はウロコ雲の存在を知ることがないだろう(涼し気な気候が必要だという仮説が合っていて、この島で寒冷化が起きない限り)。こうした事柄は他にも数多あり逆も然りで、当然のことなのだろうが不思議な感じがする。

人は生まれてからあまりにも多くの事柄を知ることのないままに、気づきもしないままに死んでゆくのだということを、改めて思った。