相毎モコ

400字で書くことを心がけ

村人のたましい

僕は現在、日本列島の北の方に住まっているが、生活しているとふたつの選択を迫られることがある。それは果たして、そなたはスキーかスノーボードか、ということであって、ウインタースポーツの話。
相手は「当然雪があるところにいるんだからどっちかはやるでしょう、当然。んで、君はどっちなのよ」というスタンス。僕はいつも答えに窮する。別にどちらもやりたくないからだ。
ここ、北の大地では雪氷と戯れることはまばたきをすることと同じくらいに当然の行為らしい。これを行わない者は即刻、部外者、落伍者、偏屈、みそっかす、異物、異次元、外人、鬼、人外、雑魚、人非人、虫けら、畜生、悪魔、邪鬼、カマドウマなどの烙印を捺されそうな勢いである。そんなことになったら、一生を井戸の底に生えたペンペン草のように生きることは必至だ。雪国は怖い。

僕にとっては、寒いのに外に出るという時点ですでにわけわかめなのだが、カマドウマにされるのも嫌なので、「ソリかなあ、ソリですね僕は」と答えてきた。これに対する村人の反応は冷たい。雪のように。
水止まった。よかった、ありがとう柴田理恵の神。