相毎モコ

400字で書くことを心がけ

側溝に落ちた獣のきもち

ポイントカードが嫌いでたまらない。
とかいうと、ポイントカードにだって立場ってものがあり、「別に僕もあなたのこと好きじゃないんで」とかなんとか言うだろう。

なんで嫌いって、まず、ポイントを貯めるとかいう行為がみみちく思えて、なんだかヤ。
そして、もっと最大級に嫌なのは、ポイントカードを作ってしまった自分で、いざ貯めるとなればそりゃたくさん貯めたい。僕は大いに悩み禿げる。

ポイントというのは、108円ごとに1ポイント貯まるシステム。107円以下では貯まらないのである。これはたまらない話だ。堪える、精神に。
だってそうだろう、107円以下のものを買おうとしたばあい、もちろんポイントは貯まらない。例えば100円のパンを買ったとする。あと8円出せば1ポイント貯まって、このまま100円のパンだけ買えば何も貯まらない。
うるる。
ここで僕はどうしようもない葛藤をしてしまうのだ、情けないことに。

どうせあと数円出せばポイントが貯まるのだ、それなら何か買わねばなるまい、いや待てよ、どうせなら2ポイント貯めたいから、216円以上になるものを買おう。
とかなんとかいって、220円くらいになるものを探し回り、やっといい値段のものを見つけたと思ったらそれが全くもって欲しくも何でもないものであり、それを買うかどうかまたも悩むことになってしまう。

しかも、しかもこのポイントというのは1ポイント1円換算なのね。1円のために、僕は蛇蝎のごとく忌み嫌うポイントカードのことで呻いている、毎日。
情けないよ、僕は。
ああ、明日もこのちんけな輪廻に墜ちるんだろうなあ。と思うと悲しくて切なくて悲しい。側溝に落ちた獣のような気持ち。
ううっ。