相毎モコ

400字で書くことを心がけ

サラリー・マンの誤解 会社の屋上

サラリー・マンになるとやるんだろうなあ、と思っていたことがいくつかあった。
昼休み、会社の屋上でバレーボールをする、というのがそのひとつである。
しかし、いったいどうなっているのか、昼休みにバレーボールをしようと言い出す者はおろか、ボールすらない。もっと言えば、昼休みがない、なんてなこともある。昼休みはバレーボール、というイメージを自分がどこから仕入れたのか定かでないが、それにしても。

会社の屋上は落下防止のヘンスに囲まれている、単なる喫煙所でしかない。
実をいえば、昼休みのバレーボールを楽しみにしていた。けしてバレーボールが得意なわけではない。しかし、色んなしがらみから放たれてバレーボール、うら若い女子社員と人のいいおっさんがバレーボール、はげた社長も悪そうな課長も平の社員も一緒になってバレーボール、陽光と春風の中で。それってステキ。
みたいな甘えた考えを持っていた。

現実を見れば、屋上にあるのは煙草の煙、ダクト類、灰皿、おっさん、ペンキのはげたベンチ、それと雑草の類、以上である。
昭和天皇は、雑草という草はない、と仰られたそうだが、とりあえず草が屋上に生えている。隅っこの方に。
タンポポとか、野花も咲いていたりする。地上8階のビルの屋上でも花が咲いている、この事実は瞠目にあたる。花が咲いているという事は、種子がここまで舞ってきたという事で、とすると空中には人の目に見えないだけで、草花の種子がそれなりに浮遊している事にも気づかされる。

たまに、漫画などで頭に花を咲かせた御仁が出てきたりするが、あながち有り得ない話でもないんですよねえ、それってきっと。
という話を会社の屋上で先輩にしたら、「それよりもっと数字作ってください、あと方々に連絡忘れないでください」とのことである。
エコノミックアニマル!ニッポンジン!