相毎モコ

400字で書くことを心がけ

信号機 冬

札幌は、っていうか北海道は雪がじゃんじゃん降ってもう大変よ。みたいなことを本州に住んでいると思われる知人か友人か知らんがとりあえず知り合いっぽい人に電話で話しているおっさんが地下鉄の待合ロビー、いわゆるホームに突っ立っていた。黒いマフラーを巻いてコートを着て。
このおっさんの言動といでたちから察するに、北海道は今、積雪が起きている。積雪が起こる、というのは変な日本語かもしれないが、とにかく雪が現に積もっていて、それが融けない感じで、どっからどう見ても雪国、みたいな光景が北海道中に広がっている。つまり冬。

冬の北海道は幻想的だよ、とか言う人があるが、そんなのはファンシー系の人だけで正味、幻想的でもなんでもない。というのはそのへんを歩いてみれば自ずとわかってしまうことで、例えば犬の小便がやたら目立つ。あちらこちらに、ってほどでもないが、黄色く染め上げられた白雪、レモン味のかき氷みたいなのが散見される季節、それが冬である。いったいどこが幻想的だというのか。この光景は、裏を返せば雪がなければそこに犬が小便をしたことがわからないということで、つまり常時犬はそこらに小便をしている、ということを示している。小便の痕跡が残ってしまう季節、それのどこが幻想的なのでしょう。

とにかく周りが真っ白になりがちなので、色が目立つ。
ということで信号機もその光がなんだか目立つ。
そして信号機の赤青黄色を見ていて思い出すのは、てんとう虫のサンバ
日頃気になっていることのひとつに、「なぜあの歌に出てくるてんとう虫はしゃしゃり出てくるのか」ということがある。もっと尋常に出てこれないのか、てんとう虫は。しゃしゃり出なくてもいいじゃないか、自分の結婚式でもあるまいに。しかし、自分の結婚式でしゃしゃり出ていたら、それはそれで変である。
とにかくあの「しゃっしゃぁり出ってー」というフレーズが気になって、心奪われて、言葉を選んだ作詞家に頭が下がってしまう季節、それが冬です。