相毎モコ

400字で書くことを心がけ

ありとあらゆる電線

いい大人、になってしまったので最近は蟻をぢっと観察することもなくなったが、地面をてんでやたらに動き回っている蟻を見ていると、視界が急に広がってきて、視界のあちこちに蟻が存在していることにふと気づかされる瞬間が訪れる。

というのは非常に感覚的な話なので「こいつ何言ってんだろう…」と思われるかもしれないが、そう見えるから仕方なく、そうなのだ。

同じ様なことが電線にもあてはまる。
普段、へらへらと日常をやり過ごしている間はまったく気にも留めないが、電線を見てはっ、とすることがある。
やたらめったらに、空を渡りわたっている。どこもかしこも、電線だ。こんなにも現代人の生活は、自分の生活は電線というものでどこかしらにつながっているのか。
その、当たり前さ加減に、慄然とする瞬間がある。