相毎モコ

400字で書くことを心がけ

みた ロッキー

昨日何をしていたか、今日もう覚えていない。昨日のことすら覚えていないのに、何年も前の小学校のこととかを割と覚えているというのは、不思議なものだ。

国語の授業で、驚愕に値する男が出てきたことがある。鉛筆の製造過程をいちから見てみる、という話だった。
その男は鉛筆に使う木材を伐採している男で、1日の始まり、すなわち朝食に生卵を3つ飲むのである。まじですか。幼い自分はそう思った。
卵というものは焼くか炒めるか茹でるか、生でなら白米にかけて食べるものだとしか思っていなかった。それを生で飲む。食べるですらなく、飲むのだった、その男は。衝撃だった。
その衝撃は例えば、猫がみゃあと鳴くと思っていたのに、「そういえばこないだのあれさあ…」と話し出す場面に遭遇した時の衝撃と同じくらいの衝撃だ。そうだと思っていたことがそうでない。背もたれにしていた概念の壁が消えてしまった。
既成概念の崩壊は恐ろしい。

ロッキーを見ていたら、ロッキーがまさに同じことをしていた。生卵を飲む。それも4つも。もしかしたら5つかもしれない。とにかく飲んでいた。
これを見て、幼い日に国語の授業で知った男の生卵事情を思い出した。そういえばあの男もアメリカ人だった。ロッキーもアメリカの人である。
ここから分かるのは、アメリカ人は生卵を飲む、という事ですが実際どうなんでしょうね。
と、今度アメリカ人と話すことがあったら聞かなければならないがいつになるか、分かったものではない。