相毎モコ

400字で書くことを心がけ

ビバ・個性の尊重

個性を伸ばす、個人の尊重。みたいなムードが社会に満ち溢れ、あっちこっちで個性ブームが起きている。
会社も学校も画一的な指導・教育をやめよう、個々人の好みや強みを活かしていこう、それが高度文明社会さ。と表立って叫び、そんな感じにしようとしている。
素晴らしいことだと思う。実現すべきことだと思う。もっと個人を見ていこう。それぞれの個性を、差異を大切にしていこう。明るい未来しか見えない。

にも拘わらず、いったいこれはどういうことなのか。ポストに投函されるチラシ、なんなんですか、これは。
マンションの広告が入っていた。
なんたらレジデンス、かんたらランク。ゆとりある快適なライフスタイルが、そこにあるという。何を寝ぼけたことを言っているのだ、俺が3000万円も出せる人間に見えますかあ?4DKをひとりでどうやって使いこなせと言うんじゃ、こちとらゆとり世代と言われ続けて、「ゆとりある快適なライフスタイル」なんて既に腐るほど満喫してるわ。
このチラシを投函した御仁は、いったい何を考えていらっしゃったのか。個人を見つめる時代だというのに、マンションを買うわけがない個人にチラシを配っている。
個人が、個性が顧みられていない。悲しいことだ。

その他にも、児童保育のチラシ、振り袖のチラシ、高齢者向け宅配サービスのチラシ、ガーデニングのチラシ、ランドセルのチラシ、学習塾のチラシ、新築戸建てのチラシ、家族葬のチラシなど個性・個人が顧みられていないチラシが毎日のように投函されている。関係のない紙が溜まっていって、難儀している。

もしかしたら、個性や個人を見つめる、大切にしていくと言いながらも、実はそうなってはいないのではないか。


ということを国交省の知り合いに話したところ、「今更気づいたんですか、遅すぎますね。ゆとりですね」と言われた。
なんでもかんでも、ゆとりと言われてしまう。情けないが事実なので仕様がなく、せめて前向きに生きてみよー、とでもうそぶく事しかできなくて、まな板の鯉のような気持ち。