相毎モコ

400字で書くことを心がけ

白黒つけたくてスーツ

キャットフードを買うためにはカネが必要で、カネがないのにキャットフードを手に入れて我が家まで戻ったとしたら、じきにポリスがやってきて困ることうけあいだ。キャットフードはカネと交換せねばならない、それがこの世の鉄則なのだ。
そのような厳しめなバックグラウンドを抱え、毎日よらよらとスーツ着て働いているが、まったくもって暑くてたまらん、スーツ。

いったい何を考えているのか。こんなに暑くなる衣服を作り、着るような制度・空気まで作って。
衣服を作ったのは洋服の青山やAOKIなどの下請けメーカーあるいは個人テーラーなどで、そこは責められぬ。
責められるべきは着用を制度化した社会そのものだ。憎い、社会そのものが恨めしい、呪詛の言葉を投げつけたい。

ということなので社会そのものを責め立ててやりたいが、できない。
社会とは金閣寺やエロ本、タイコウチのように物質として存在するもんではなく、空気のように煙のように、そこいらを漂っている何物かだからだ。
人間の作り出したものにも拘わらず、人間はそれを殴ることもできない。無念の一言に尽きる。


そんなことより、クールビズ
そんなコピーがあったかどうか、それは謎だが最近はクールビズと謳って、ジャケッツを脱ぎ捨て暑さから逃れよ、というビズりが流行っている。
川の流れのようにおだやかにこの身を任せていたい、と美空のひばりが歌っているので流行に流されてジャケッツを脱いだ。したところ。
絶望した。
いっかな暑さが減じない。なにがクールビズだ、コンピューターだ、チョコボールだ!横文字使えばいいというその軽佻浮薄な態度がこの国をダメにしたんだ!この国はおかしくなっとる!
団塊世代が言いそうなことは一切言わないが、絶望した。ほとんどクールビズれなかったからである。

こうなるともう、毒も食らわばなんたらら…と諺にあるように、だめならだめで徹底的にいけるとこまでいきたくなる。これが27歳男子の心情というものだ。
暑いなら暑いで、暑さを認めてジャケッツを脱がない。徹底的にやるためヒートテックやマフラーを着用し、デスクにはしょうが湯や湯たんぽなども欠かさない。
それは地球温暖化に繋がりそうだからやだ、というエコロジストは逆をいけばよい。衣服は着けずにオーストラロピテクスのように全裸、全裸が憚られるならば水着で業務にあたる。エアコンは15℃に設定し、社食は冷やし中華とかき氷のみとする。

中途半端が一番良くない、馬鹿と天才紙一重
そんなコピーがあったかどうか、それは謎だがやはりどちらかに振り切れて白黒をつけるのは大事である。
パンダがなぜチャーミングかというと、白黒はっきりしているからだ。だから灰色熊と訳されるグリズリーなんかは、チャーミングでない。
白い黒い、暑い寒いはくっきりさせるべきだ。

という話を仕事終わりの居酒屋で国交省の知り合いにしたら、「とりあえず暑苦しいんで脱いでください、スーツ」と冷ややかな目をして言われた。
社会の重圧を居酒屋でも感じ、仕方なくビズった。周りがおっさんだらけで暑かった。