相毎モコ

400字で書くことを心がけ

驚きのネコ 睡眠

ネコがありえないほど長く伸びて寝ている。というのはどうでもいいことだが、明日は梅崎春生の全集を引き取りに行く。
これは個人的に慶賀すべきことであって、楽しみで仕方がない。楽しみが過ぎて、寝られないのは幸せなのか、不幸せなのか。どっちなのか。そんなこともどうでもいいことだが、それにしてもネコはよく眠る。
僕が昼間、四方八方にヘコヘコしながらキャットフード代を稼いでいる間、何をしているのか分かったもんではないが、別に家のことをやってくれている風でもない。それが証拠に、いつも床には本やなんかが散乱したままで、崩れた座布団の山もそのままだし、払い忘れている電気料金の払込書も机の上に残置してある。
では何をしているのかというとそれは定かではないが、しばらく寝ていることは確かである。それは布団やなんかのへこみ具合で感じられるのだ。いいじゃないですか、それっていい身分じゃないですか、それって。眠りたいときに構わず眠れる。いいじゃないですか。

世の中の何割かのお父さんが「たまに家にいるかと思ったら寝てばかり居て!なんもしてくんないんだから!」と勝手に怒髪天井を衝きながら掃除機をかける妻に面罵されているというのに、きみはそのお父さんの気持ちが分からない。
とはいえ、お父さんの、他人の気持ちなんか分かるわけがない。それは確かにそうだ、蓋し正論だね。でも、分かるわけがないのと、分かろうとしないのは違うことだと、ぼか思うよ。分かろうと努めること、想像すること。そこから和のようなものは生まれるんじゃないかなあ、社会が明るくなるんじゃないかなあ。
とネコに諭してみたが、ネコはシュメール人のような瞳で見つめ返すばかりで、明きませんでした。何が。埒が。