相毎モコ

400字で書くことを心がけ

台風に寄せて

会社にモンゴルでしばらく働いていた人がいて、その人はひどい花粉症だったのだが、モンゴルではまったく花粉症の症状が出なかったそうだ。
そんで、日本に帰ってきてくしゃみをし、涙が止まらなくなって思い出したらしい。「そういえば花粉症というものがあった。」


日本とモンゴル、に比べるとスケールがちーさいが、関東を離れて北海道に9年間住んでから関東へ戻ってきて、自分も思い出した。
「そういえば本州には台風があった。」

北海道には颱風があまり上陸しない。ついでに雷もあまり鳴らない。冬は空が明るい。

台風でもうひとつ思い出した。
台風といえば大雨が降って川が増水し洪水になることがあるが、昔は田舎の方だと牛が流れてきたりしたという。もおとか言って。
予備校に通っていた頃、地理の講師にきいた話。オーストラリアにも洪水がある。
日本では牛が流れてくるが、オーストラリアではいったい何が流れてくるか。

答えはコアラだ。
コアラがユーカリの枝にしがみついて、濁流のさなかに浮かんでいるのを見たらしい。
自分はコアラのことをよく知らないので勝手なイメージでしか書けないが、コアラには必死さとかひたむきさという印象がない。たからきっと、流れコアラの多くが溺れてしまったことだろう。枝にしがみつくものの、生にはしがみつけなかったコアラたちよ。今更ながら、遥か遠い島国で、あなたがたの冥福を祈る。

生きれ、コアラたちよ!