相毎モコ

400字で書くことを心がけ

一切衆生の肝っ玉

「肝っ玉」という言葉を使うことはあまりないが、過日、LINEでやり取りをしていて使いたいな、と思うことがあった。「きもった」と打って出てきた「肝っ玉」の他に検索候補として現れたのが、「肝っ玉母さん」だ。

肝っ玉母さんというワードがあることは知っていたが、この母さんがいかなる母さんなのかは知らない。が、それよりも気になったのは「肝っ玉父さん」というワードが出てこないことですね。無いのか、そんな言葉は。

いや、無いことは無いのかもしれないが、あったとしても母さんほど普及しているわけではないらしい。「きもった」で候補に出てこない。念の為、「きもったまとうさん」とも打ってみると、やっと出てきた。あるにはあった。だが、登場が遅いのだ。しかも「肝っ玉倒産」という、やけに堂々としたワードも同時に出てくるのが意味深長である。
なぜ、肝っ玉母さんはすぐに検索候補に出てくるくらい広まっているのに、父さんはなかなか出てこないのか。

そこには、肝っ玉が据わった女性が珍しいという思い込みと、男性は肝っ玉が据わっていて当然という思い込み、はっきりいって偏見があるように思う。父さんは肝っ玉が据わっていてフツーじゃね? 男だし? あえてそう呼ぶ必要もなくね? みたいな?


この思い込みが思い込みであるのは明らかで、そもそも肝っ玉が据わった人間などほとんどいないのではないか。
そんな有象無象の中、肝っ玉が据わっているのは男女に限らず非常に珍しいことで、もし据わっているとすれば「肝っ玉なんたら」と呼び讃えられて然るべきだろう。

とすると、やはり肝っ玉の称号は母さんだけに独占されるのではなく、場合によっては父さんにも適用された方がよいのではないか。もっと言えば兄さん、姉さん、婆さん、爺さんはもちろんのこと、園児、ユーチューバー、学徒、裁判官、係長、番頭、キャプテン、豆腐売りなどもこれ、資質を備えていれば肝っ玉にふさわしい。
その他、「肝っ玉山田」「肝っ玉のOL」「隣の肝っ玉」などの派生があってもいいと思う。

でも、肝っ玉ってなんだろう。。。