相毎モコ

400字で書くことを心がけ

ウグイスパン

今日、鶯谷のラブホ街を歩いていて思ったのは「ウグイスパンはウグイス入ってないけど緑色のあんが入ってるからウグイスパンなのか?っていうか俺、ウグイス見たことないや、なんとなくイメージ浮かぶけど。実際見たことないのにイメージを勝手に浮かばせてしまうウグイスって、侮れない存在なのかもしれないね」ということだが、それと同時に思い出したのは、とあるヌードモデルのプロフィール。

たしか五味彬という写真家の作品で、アメリカのヌードモデルを集めたものがあってそれぞれのプロフィールが一緒に載っていた。
年齢とかスリーサイズとかそんなんだが、あるモデルの「食べ物の好き嫌い」が興味深い。
好きなものはブロッコリーで、嫌いなものはブロッコリー以外の全て、である。これはつまり、その気になれば彼女はブロッコリーだけで生きようとするし、必要性に迫られなければブロッコリー以外のものに手を出すことはない、ということだ。彼女がウォルマートで買うものはブロッコリーだけ、ピザを注文しても食べるのは上に乗っているちいちゃなブロッコリーの欠片のみ、ということだ。いつか両親に言われるだろう、「お願いだから他のも食べて」と。また同棲していた彼氏はブロッコリーだけの食生活に耐えきれずに「最近、緑の夢を見ます。緑が迫ってきて、緑色の血が流れます。もう限界です。僕は緑以外の色が見たい。」と書き置きしてとんずらするだろう。しかし彼女は変わらない。ブロッコリーが好きで、ブロッコリー以外は嫌いだからだ。

果たして人間、そこまでひとつの食物に執着できるものだろうか。彼女に一体何があったんだ。ブロッコリー農家の娘なのか。前世がブロッコリーだったのか。神のお告げなのか。たまたまブロッコリーにハマっていた時期で、勢いでそう答えてしまったのか。
この娘がなんという名前だったか、覚えていないが、覚えていたらFacebookとやらで検索して今どうしているかを探ってみたかった。