相毎モコ

400字で書くことを心がけ

読んだ「カラマーゾフの兄弟」


という曲がスピッツにはあるがあれは妙な爽やかさがあって、夏の日の思い切り苦いライムソーダのようなそんな感じね。


となってはその辺に落ちてるようなおっさんになりつつあるが、自分にも予備校生の時代があった。
その予備校には丹前を着ていない筒井康隆みたいな英語講師がおり、いわく、「イギリスはねえ、べらぼうに寒いんですよ。だから、ゴキブリなんてものがいないんですよ。イギリス人はゴキブリを見たことがないもんだから、どんな虫か知らないんですよ、そんでな、日本に来てゴキブリを見ると、キレイナムシデスネーキラキラシテテ、って言うんですよ、分かるか」などと言っていたが、あれは嘘なのではないか。

先の長期休暇でカラマーゾフの兄弟を読んだけど、どこかの家の描写で「寝台の下には多くのゴキブリがいて、カサカサいう音が止むことなく聞こえてくる」みたいな箇所があった。
イギリスは確かに寒いだろうよ。ちなみに自分は北海道に8年住んだが、確かにどんなに汚い建物や部屋でも奴らの姿を見たことはなかった(飲食店にはいるらしいが)。北海道もイギリスと同じように寒い、よってゴキブリがいない。だから、予備校の筒井康隆の話を信じていた。
ただ、ロシアも相当寒いだろうよ、舞台がモスクワやペテルブルグではないことくらいしか覚えていないが、イギリスや北海道よりも寒い、少なくとも同程度に寒いはずに違いあるまい。マイナス気温の世界記録も、イルクーツクだかヤクーツクだかどこかの-74℃くらいだったかと思う。なんだその気温は。文句なしに寒いに決まってるじゃないか。
それに、左遷の表現で「シベリア行き」なんてのがある。見渡すかぎりの雪と氷と永久凍土、ここにはヘラジカとくま、バクテリアくらいしか生き物が存在しないのだ。世間から放逐された敗残兵が細々と馬鈴薯をモシモシ食べる。。。。。。スネに傷を負った者が行き着く先は北国、というあれだ。

然るになんですか? あんなに寒い処にゴキブリがいるだなんて? イギリスにはいないのに?
ロシアはイギリスや北海道ほど寒くないというんですか? それともなにか? 17世紀のゴキブリは現代のゴキブリよりも根性があったとでもいうのかね。
なぜ、寒さゆえにイギリスにいないものがロシアにはいるんだというんだね! イギリスにも実はゴキブリはいるのに、隠したんじゃないのか?!
どうなっとるんだね、いったい!

(全く関係ないが、それなりの社会的地位のおっさんが「君のとこはどうなっとるんだね、いったい!」などと叫ぶことがあるが、おっさんは「どうなっているのか」を知りたいわけではない。とにかくそれっぽい事をそれっぽいタイミングで叫びたいのだろう)

ロシアおよびイギリスに知人でもいればすぐ確かめられるのだろうが、そんな知人はいない。
小学生の頃、夏休み子供相談室というラジオ番組があったがあれが今も続いているなら、児童のフリをして聞いてやろうか。


あと小説で気になったのは、「プードル70匹分の従順さ」という表現だね。70匹のプードル、それも額に赤いリボンをつけたやつだ、それらのリードを持って散歩をする小金持ちのオバさんを想像した。部屋でひとりで笑った。
空しかった。