相毎モコ

400字で書くことを心がけ

ニューライフキャットフーズ

色々様々アラカルトな理由から引っ越しをすることになり、次の住まいでは猫がいるのでどうしなければならないかというと、猫に餌、って猫に失礼、お御飯を供えなければならんのだ。誰に。誰にって猫に。
猫のお御飯といえば、かつては魚の骨でもあげておけば十分である、とされていた時代もあったが様々な存在の権利が主張されるようになった2020年現在において、猫のお御飯といえど「魚の白骨などでは我々(猫たち)の最低限の文化的生活水準および身体的かつ精神的な健康・安寧を実現することは不可能である」なんつて、猫のお御飯・フードの界隈は充実の一途をひた進んでおり、たとえばホームセンなんかにちょいと行ってみると猫フードが20種類くらい陳列されている、そういえば人は選択肢が多過ぎるとかえって決断が困難になり不幸や生きにくさを感じると聞いたことがあるが猫の場合はどうなんだ。ってそんな問いかけは脇へ置くとして、問題はこれら20種の中からぜんたいどれを買い求めればいいんですか問題なのであって、非常に難問奇問であること甚だしいぜ。ていうのは、猫のやつときたらどういうつもりなのか、なめているのよね早い話が。フーズを買いに行くのは人間、なんでって猫は人間の値札とか読めんし、会計もせずに店内で食べ始めたりするだろうしね、そんなわけで人間が買いに行くのであって、36℃にもなる炎天下の往来に躍り出たのはいいが、マイカーなんてないからしかたなく徒歩で行くよな、ホームセンターに。そんでいかにもデリシャスなパッケージのフード袋をつかんでレジスターに並ぶよな、社会的距離の空隙をもうけて。そしてまた燃えるような大日に曝され、メラニンとか細胞で作りながら家路につくわけで、正味、猫のお御飯をホームセンターに買いに行くのはご苦労なことなのだ、なのに。なのに、猫さんときたら、そのお御飯を食べようとしない、というか食べないで私の目を見て「みゃあ」などと鳴いたりする。この「みゃあ」が何を意味するのか不明だが、おおよそ「なんですか? この残飯は? いや、もとい、非残飯であるにも拘らず残飯のような体たらくの有機物はいったいぜんたいなんですか? つまり私は他のちゃんとした御御飯が食べたいのです」といったことを主張しているに違いなく、いかなデリシャスじみたフーズを買ってきたとしてもお気に召さないことが往々にしてある、そんなことが現在は悩み。